「モルタル防水」とは?防水モルタルとの違い・特徴・改修工事のポイントを徹底解説
モルタル防水は、かつて一般的だった防水工事方法の一種です。しかし、防水性能や耐久性の観点から現代では注意が必要。この記事では「モルタル防水」と「防水モルタル」の違いや施工上の注意点、他の防水工法との比較、そして改修工事のポイントを解説します。
目次
「モルタル防水」とは何か?
「モルタル防水」とは、建物の屋上やバルコニー、庇(ひさし)などに施工されてきた、防水工事方法の一種です。主にセメントと砂、水を混ぜたモルタルに防水性を持たせ、薄い膜状の防水層を形成します。
かつては集合住宅やビルで採用されることもありましたが、実際には防水性能が他の工法ほど高くなく、長期的な雨漏り防止には向いていないことが分かっています。そのため、近年の新築や大規模改修では、より確実な防水層を形成できる他の防水工法が主流になりつつあります。
「防水モルタル」と「モルタル防水」の違い
「防水モルタル」と「モルタル防水」は、名前が似ているため混同されがちですが、概念が異なります。
- 防水モルタル:モルタルそのものに防水性能を付与した材料。セメントモルタルに特殊な混和剤やポリマーを加え、水分の浸透を抑えやすくしたものです。しかし、完全防水ではなく、仕上げには防水塗装などの追加処理が一般的。
- モルタル防水:建物の一部(主に屋上やベランダ)に行う、防水工法の一種類。モルタルで防水層を形成しますが、防水性は限定的で、水漏れが致命的な影響を及ぼさない箇所で用いられることが多いです。
つまり、「防水モルタル」は材料そのものを指し、「モルタル防水」は防水工事の一種を指している点で本質的に異なります。
モルタル防水の特徴と問題点
モルタル防水は、一見すると防水性が期待できそうな名称ですが、以下のような問題点があります。
- 防水性能が低い:他の防水工法(ウレタン防水、FRP防水、シート防水、アスファルト防水)と比較すると、水分を完全にシャットアウトするのは困難です。
- ひび割れが起こりやすい:モルタルは微細な孔を持ち、水を吸収しやすく、経年劣化でクラック(ひび割れ)が生じれば防水性は低下します。
- 定期的な補修が必要:経年劣化や浮き、クラック発生により、こまめなメンテナンスや改修工事が求められます。
モルタル防水の種類(A種・B種・C種・D種)
モルタル防水には、使用するモルタルや施工工程によって以下の4種類があります。
- A種:下塗りにポリマーセメントモルタル、上塗りに防水モルタルを用いる2層構造
- B種:下塗り(ポリマーセメントモルタル)、中塗り・上塗り(防水モルタル)で3層構造
- C種:下塗り・上塗りともにポリマーセメントモルタル(2層)
- D種:下塗り・中塗り・上塗りすべてポリマーセメントモルタル(3層)
いずれのタイプも、防水性能は他工法と比べて限定的なため、最終的には防水塗装などを上から施すことが一般的です。
防水モルタルの特徴と用途
「防水モルタル」は、防水性能を付加したモルタル素材です。
一般的なセメントモルタルよりは水分を通しにくいものの、やはり完璧な防水は期待できません。そのため、外壁や水回りをモルタルで補修する際にも、防水モルタルを用いた後は防水塗装で仕上げるのがスタンダードです。
庭の池や、雨水が当たる部分の簡易的な防水には有効ですが、高い防水性が必要な建物の躯体保護には物足りないケースが多いです。
他の防水工事(ウレタン・FRP・シート・アスファルト)との比較
近年、モルタル防水は防水性能の観点から下火となり、以下のような工法が一般的です。
- ウレタン防水:液体ウレタンを塗り重ねる塗膜防水。形状自由度が高く、現在主流。
- FRP防水:繊維強化プラスチックで強度が高く、軽量。バルコニーやベランダでよく使われる。
- シート防水:塩ビシートやゴムシートを貼る工法。紫外線や熱に強く、広い屋上に向く。
- アスファルト防水:歴史が長く、信頼性が高い。耐久年数も長く、マンションや大型施設に多用。
これらの工法は、モルタル防水よりも高い防水性・耐久性が期待でき、トラブル時の対処もしやすいことが特徴です。
改修工事における下地調整の重要性
モルタル防水層を残した建物を改修する際には、下地作りが極めて重要です。浮きやクラック部分を調査し、エポキシ樹脂で注入・補修して一体化させた上で、プライマーを塗布し、新しい防水層(ウレタン塗膜防水など)を形成します。
適切な下地処理は、長期的な防水効果を左右するため、専門知識と経験がある業者へ依頼することが大切です。
モルタル防水が残る建物の改修ポイント
築年数が経過したビル、マンション、アパート、工場、倉庫などでは、過去にモルタル防水が施工されているケースがあります。以下のポイントを押さえると良いでしょう。
- 点検・診断の実施:浮き、ひび割れ、雨漏りの有無を専門家がチェック
- 適切な工法選択:ウレタン防水やシート防水、FRP防水など、現場に合った工法を提案
- 継続的なメンテナンス:定期点検やトップコート塗り替えで、長期的な防水機能保持を実現
当社では、現地調査・お見積もりを無料で行い、建物の状況に合わせた最適な防水計画を提案いたします。
まとめ:適切な防水工事で建物の寿命を延ばす
「モルタル防水」は、かつて採用されていた防水工事の一種ですが、防水性能や耐久性の点で他の工法に及びません。「防水モルタル」はあくまで防水性を付加した材料であり、十分な防水効果を得るには追加の処置が必要です。
現代の防水工事では、ウレタン防水やFRP防水、シート防水、アスファルト防水など、信頼性の高い工法が主流となっています。
もし既存の建物でモルタル防水が施されており、不具合や雨漏りが発生している場合は、ぜひ専門業者にご相談ください。私たちはビル・マンション・アパート・工場・倉庫など、さまざまな建物の改修工事で経験豊富なスタッフが、建物の長寿命化と安全性確保のために最適なご提案をいたします。
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